DATE  :2009 July 5th (Sun)
PLACE : Umeda Sky BLDG
Interview : Masahiro Wada, Ikuyo Sera,Yoshihiro Nakano, Ikuhisa Okuno

毎年の恒例行事であるClub GP記念大会時のランチタイムインタビュー。しかし、来年よりClub GPの創立記念大会が 『D1-GP』 へと様変わりするため、今回で最後のランチタイムインタビューとなりました。
これまでたくさんの講師の先生方に登場していただき、それぞれの先生方から非常に興味深いお話を賜りました。そのバックナンバーも是非ご覧いただきたいと思いますが、まずはその前に、名残惜しい(?)最後のランチタイムインタビュー、先の8周年記念大会における座談会をお楽しみいただければ幸いです。

インタビュアー:
今回は、御講演いただいた矢谷博文先生・西村好美先生、そしてクインテッセンス出版の北峯康充氏、さらにはClubGPから鈴木秀典先生にも加わっていただき、お話を伺わせていただきたいと思います。まずはClubGPに対する印象はいかがでしょうか?


矢谷教授
前にも講演させていただいたのですが、今日も若い方が寝ずにしっかり勉強しようと積極的な姿勢がいいですね(笑)

西村先生
いつも発表している場では、こういう症例で、こういう治療をして、こういう結果になったとか、こういうのを作ったというのが多くて。今回の皆さんのように、きちっと論文の読み方についても理論的に整理しようとする講演は素晴らしいと思います。最近のトピックとか一般的に注目されているものは、目新しい理論や材料が多いですが、本当は基本的なことを忠実に行うことが重要であることを再認識できて、自分の実践していることに自信がもててよかったです。



今回は「若手のチャンス」という内容で話を進めていきたいと考えています。我々も方向性などで悩むことも多々あるのですが、先生方が若手のころにどのようなことを考えて過ごされていましたか?

鈴木先生
5年大学にいて、それから外に出て。まだ、大学にも顔を出していますし、開業もしていない訳で。今までの歯医者のスタイルというのは、大学で教授への道を歩んで行く人や、若くして開業医で勤務して開業を志す人と、両極端だった気がします。そうではなく、僕は中間的な今までになかったスタイルを進んでいる気がするのですが、これからこのようなスタイルもありな気がします。開業医でしのぎを削るのもいいのですが、半分臨床して、もちろん研究もして。目指すところは一緒なんですけど。何が何でも有名な先生のところで修行して、開業して、というスタイルじゃなくても大学に長く在籍しながら臨床もするというのもいいのではないかな。

私たちもGPで開業している先生に目が行ってしまうので、そう言ってもらえると、まだまだ研究していってもいいかなと励まされます

鈴木先生
大学は今までは学位、というのがあってその間は臨床から遠ざかってしまうのがネックだったのですが、最近は大学にいるからこそ取れる資格もあるので、使い分けていく必要がありますよね。

矢谷教授
補綴学会の専門医に深く関わっているのですが。補綴専門医の広告開示がいまだかなわないのは残念で・・。ただ、一般の雑誌などで補綴についての話が出た時の反響のすさまじさは凄かったらしいです。つまり、国民の方々はいい先生を常に求めているのですが、歯科医師過剰の時代で、実力も肉薄している状態でわからない。国民にとっては専門医も判断基準の一つになりますよね。歯科のいろいろな分野の専門医が出てきたらいいなと思います。ただ、質の保証が非常に重要になるので、勉強してまじめに取り組んでいるような歯科医師が日の目を見られる環境が整えばいいなと思います。今までは歯科医師免許を持っている人は全て一緒に見られているので、歯医者のモチベーションを上げるためにも見返りが必要だと思います。なかなか難しいですが。



西村先生
話は変わるかもしれませんが、私は、若いころから技工してきて嫌と思うことがなく、この仕事をやってきてよかったと思っています。その中で一番つらいのが、技工士学校の希望者が減ったり、離職率が高くなっている。このような状況に対して、衛生士もそうだと思うのですが、歯科医療の中できちっとしたことをやっていこうと思うと特にケアの問題や修復治療について、補綴物の質が重視されます。ただ、こんなにいい仕事なのに希望する人が少ない、それを理解する前に経済的な問題や、労働時間や環境で辞めてしまうのはすごく寂しくつらいですね。もう一つは歯科医療全体を見たときに、いろんな材料や治療の質が高くなり、海外に追いつけ追い越せになってきていますが、全体的な目線を広げないといけないのではないかと思います。

西村先生が歯科衛生士の免許を取得されたことも、全体を考えることがきっかけになったのでしょうか?

西村先生
そうです。何より患者さんの口腔内を見たいという気持ちが強かったですね。確かに歯を作ることは好きですし、技工士が本業だと思っています。ただ、患者さんの口腔内を見たい、自分の作ったものが口腔内でどのような機能を果たしているのかを見てみたいというのがあります。僕がこの仕事を続けられたのは、患者さんに単純に褒められたからなんです。自分が作ったものを患者さんに入れる時に立ち会わせてもらって、こんないい歯を入れてもらってありがとうございます、という言葉を頂いて。褒められたらうれしいものだから、もっと褒められたい、いい歯を作りたいと思って。また他の技工士とか歯科医に褒められると、また褒められたくなります。最終的にいろんな患者さんに立ち会う機会が増えて、多くの悩んでいる患者さんからお話を聞いて、途中で涙を流されたりするのを見ると、自分の人生が何かお役に立っているのかなと思います。ただ、8割9割の歯科技工士は、模型上で歯を作っているのみで、もう少し患者さんを意識してほしいなと思います。そのためには、自分がその場に立つ重要性というものを感じましたので、合法的に患者さんの前に出てお話しできる立場になりたいと考えて、資格を取ることにしました。



最近大学でも技工研修生が増えてきて、立ち会える場が増えてきているのかもしれませんね。

矢谷教授
そのとおりですね。やはり連携というものは重要だと思います。

私たちもGPで開業している先生に目が行ってしまうので、そう言ってもらえると、まだまだ研究していってもいいかなと励まされます

矢谷教授
とにかく今は便利ですよね。昔は勉強するのが大変で、文献一つコピーするのも難しくて。図書館のおばさんにあきれられるぐらい本を山積みにして、付箋を貼っては読むという生活していたのですが、今はコンピューターで簡単にダウンロードできる時代で。これは一つの例ではあるのですが、自分の得たいものに昔のように苦労しなくなったので、ハングリーさに欠けている気がします。時代が変わったのかもしれないけど、のんびりしてますね。

西村先生
矢谷先生と同じなのかもしれないですが、感性が少なくなってきている気がします。自分以外のものに対しての感じ取り方。僕は審美を専門にしているからかもしれないですが、例えば、患者さんが入ってきたときから唇や手の動きから、この人は口を見せたくないんだとか、少しでも情報を得たいというスタンスとして、感性を研ぎ澄まそうと努力するのですが、最近の人は、患者さんが来ても模型だけで与えられた仕事をしようとする感じなんですよね。でも本当の与えられた仕事をする、というのは、模型上で歯を作るのではなく、患者さんに喜んでもらうことだと思うのです。最近の雑誌などを見ていてもテクニックとかが多く、患者さんを含め自分の感性が減ってきている気がします。



模型と向き合うことが多い、ということは、患者さんと向き合う機会が減っているということでしょうか?

西村先生
そうですね。法律的にも患者さんの前にどれだけ技工士が出ていけるのかという点もあるんですけどね。患者さんの前に立ち会う場合には、口腔内を触ったりすると思います。ただ、感染対策とかきちっと教育を受けていない技工士が診療室にでて、事故が起こらないかとか不安なので、全て立ち会うというのがいいとは言えないと思います。ただ、模型のところに一枚でも患者さんの写真があると、自分はこの患者さんの歯を作っているんだなという意識が技工室にいながら生まれるのかもしれません。

矢谷先生は補綴科の教授として、先ほどの話からいろいろ思うかもしれませんが、技工士との、または衛生士も含めて連携をとることに関して何か思うところはありますでしょうか?

矢谷教授
歯科医療提案書というものがあるのですが、これは保険の改定に合わせて提案することがあり,将来の保険導入を見据えた技術であったり、過去の技術の見直しなどを目的としています。今回補綴学会では技工士の立ち会いなどについて出す予定なんですよ。今ではサービスのようにやっているのですが、保険導入することによって、一般の歯科でも技工士と一緒に仕事するという意識を持ってほしいと考えています。それに技工士がいくら頑張って仕事しても、患者さんを見れないという環境はあまりにもったいないし、技工士がやりやすい状況にするのは我々歯科医師の仕事ではないのかなと思います。

さて、今回の「若手のチャンス」という題材を提示させていただいたのですが、きっかけとしては、先生方の意見と同じく、最近若手にはガッツがないという意見がやはりあって。例えば技工士さんでもいいものを作る、患者さんに提供するという思いを持って、休みの日でも勉強会に行き、一生懸命手を動かしている人もいる。ただ、総合的に若手は元気がないと言われてしまっているんです。そうでない人もいっぱいいるのに。そのような人がクローズアップされにくいようなんですよね。例えば雑誌のクインテッセンスでも、最近でこそ若手に門戸を開くようないい企画を作っていただいているのですが、もう少し、若手の先生が出ていく道があればいいのにな、と我々のグループは思っています。矢谷先生から見て、ステップアップするのに、なにか助言はないでしょうか?今回の御講演でデータを収集するべきというのも非常に参考になったのですが。

矢谷教授
このような会がもっと全国に広がっていくべきです。ある雑誌の号の特集をそのような先生を講師にしたりね。まさにClubGPがそういう見本になる会じゃないのかな。

北峯氏
全国にも、もう少しゆるい感じの会で若手の先生が多いスタディグループはいっぱいあるんです。でも、この会は、例えば今日でもきちっと聴講されてますよね。そのようなグループは表に出て来ていただきたいと感じています。これからは本当に勉強している先生が生き残れる時代だと思います。私は患者という立場からの意見になるのですが、例えば私の家族にいい歯科医院を教えてほしいと言われたとき、すごく難しい。私自身も自分が行きたい歯医者っていうのは少ないです。ただ、勉強をしたい先生、ステップアップしたいという先生はたくさんいると期待しているので、私はバックアップをしていきたいとは考えています。



西村先生
技工士としても頑張っている人が報われる時代になればいいと思います。それが名誉な賞じゃなくてもいいのです。結局は患者さんが喜んで、歯科医師もコ・デンタルスタッフも楽しく仕事ができる、そして患者さんが一生そこの歯科医院に通ってくれるというのが全てでしょう。技工士の目線で言うと、補綴物というものは、患者に対して影響は大きいはずです。それを歯科医師の先生方が善し悪しを評価するしっかりした目を持ってほしいと思います。いいものを作れば作るほど時間はかかるし、手を抜けば抜くほど時間は短縮できます。でも、12年、15年で違いが出てくるのは、ポーセレンの焼き方やフレームの設定、材質、咬合の評価をどうとらえるかです。それをすると時間が足りなくなります。矢谷先生の最初のお話でも出たのですが、患者さんを意識する、というような客観性を持ってほしいと思います。やっているところにはきちっと報酬を頂いて、やっていないところには、なんでやってないの?もう少しこうした方がいいよ、という意見を頂きたいです。今回この会に呼んでもらって、歯科医師、衛生士、技工士が一緒に勉強できる場を作っていければと改めて感じました。

鈴木先生
方向性を指導できるような立場ではないのですが、GPを立ち上げた時の内容と今の会の内容って、一緒の所もありますが、大きく変化していますよね。これから10年目に向かって、年齢層も幅ができて、これからどのようなスタイルの会にしていくのか楽しみです。アンダー30というイベントも行うなど若手のことも考えて、UCLAのように世界にも目を向けて。文献の勉強会もあり、大学の先生や臨床家の先生がいたり。ClubGPというオールラウンドな雰囲気を保ったまま、進んで頂けたらと思います。

 
 
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